洛東化成工業株式会社

酵素とは?

酵素は細菌やカビなどが生成した代謝物で、酵素自体はタンパク質で出来ています。
お米をしばらく噛み続けていると次第に甘くなってきます。これは人の唾液の中にある澱粉分解酵素、すなわちアミラーゼによって、お米の澱粉がぶどう糖にまで分解されたためです。このように生物は、食物を自分が吸収しやすい形へと細かく分解していくために、様々な酵素を生成します。そしてこれらの酵素は化学反応の触媒として作用します。

酵素の最大の特徴は作用する物質(基質)をえり好みする性質で、これを基質特異性といいます。アミラーゼは澱粉分解の反応以外に作用することがありませんし、セルラーゼはセルロースに対してのみ作用します。これは生体内での代謝経路でいろいろな化合物が無秩序に反応してしまっては生命活動が維持できないため、それぞれ目的の反応のみを進行させる性質によるものです。この基質特異性によって酵素は化学工業の分野でも広く使われています。

酵素は、他のタンパク質と同様に熱やpHの度合いにより変性し活性を失う特性があります。これを失活といいます。したがって、酵素の反応は至適温度・至適pHや水溶媒など条件が限定されます。別の見方をすれば、酵素は水中や常温常圧、中性付近のpHなど、温和な条件で化学反応を進行させるともいえます。ただし、生物の多様性は非常に広いので、好熱菌、好酸性菌、好アルカリ菌などの持つ酵素のように、極端な温度やpHに耐えうるものもあります。実際に繊維加工の糊抜き剤用のアミラーゼは100℃でも活性が持続する耐熱型が主流となっています。